【風と星のような物語り】01

今、札幌芸術の森で開催されてる『Sprouting Garden-萌ゆる森』で、
作品を展示させて頂いてますが、
今回の空間を一つの作品として、
『風と星のような物語り』と言う作品を創りました。
実はこの作品制作に入る前、

制作が全く出来なくなってしまった時期がありました。
筆を持つことも紙を見ることすらも、机に座ることすら出来ませんでした。
お仕事先の方には本当に迷惑をかけてしまいました。

だけど、皆さん本当に温かかったです。
温かい言葉をくれて、対応してくれて、
どれだけ救われたか分かりませんでした。『人って温かい』そう思うと目に何度も想いがこみ上げてきました。
人は、やっぱり、温かいですね。優しいですね。
みんは本当はとても素晴らしい心というものを持って生まれてきて、生きてるんだ、と。
人は何かにぶつかって、もうだめだ、ってそこまで落ちた時こそ考えたり見えたりすることがある。

だから人にはやっぱりそういう時期は必要、必要と言うか避けられないのかもしれない。
何かを知るために、気付くために、本来の心や自分に気付くために。
1番、暗黒面だった時、同じ様な経験をした友人も言ってた事がわかりました。
『自分はあの時期、得ると言うより、捨てることを知った』と。

少しトンネルを抜けてきた時、その事がよくわかった気がした。

得て、そして、捨てて、生きてゆくこと。

今回、1番メインで描いたベニヤ板3枚繋がった1枚の絵があります。

会場1番奥に飾りました。一頭のムースが真っ直ぐこっちを向いてる絵です。
その絵は、あの時期の前にしがみついて離さなかった様々な物たちを

やっと手放して描けた絵となれた気がします。
そしてつまり、自画像を描いてたんだと思います。
あの時期にいろんな事を気付いたり捨てたりして、“自分の足で立つ”、

ということを教えてもらえたと思う。
(正直、描いてる時ずっと、産まれたての子馬がぷるぷるした足で

立った映像が頭からずっとずっとずっと離れなかったんだ…)

メインの絵と、もう1作品、正方形のキャンバスが3枚並んだ絵。こっちの絵も。
両方共、絵の名前は
『風と星のような物語り』。

得て、得た必要なものは心の中にそっとしまって。
それ以外のもの捨てた時、何者でもないんだと気付かされた気がした。

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風と星のような物語り。

それはきっと、儚く、浅はかで、深くて、愛おしくて。
そんな人生の旅の物語り。
様々な悩みはあるけれど
人はきっと、浅はかにでも生きていっていいのだろうな、
生きていけるのだろうな。
柔らかい風に幸せを感じ、小さな花に美しいと思い、綺麗な星に心穏やかにし、
太陽に手を合わせ。祈り。

天地自然草川山木のように
この旅もまた
巡り巡って
繰り返しながら
繰り返しながら。

永久(とこしえ)に願った遥かなる穏やかで美しき彼岸の世界は、
もう誰しもの心に広がっていて。
そしてその世界はきっと全ての人々が繋がっている同じ空間。

人、人と共にあり。
人、天と共にあり。
故に、全てはもうここにあるから、何も持たなくてもいいのだろう。
この土のようになりたい、
なりたいというか、
この土のように戻りたい。

そして
この風のように。
この星のように。

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あの時期に、そんな所に辿りついて、出来上がった作品でした。
でもこの感覚、昔もあったなって思ったんだ。
屋根に寝転んでずっと星を見上げ、自分も宇宙の一つと感じたあの時も、だ。

人、人と共にあり。
本当に今回、どれだけの人の優しさに助けられたか。
皆さん本当にありがとうございました。

人、天と共にあり。
自分は天と共に生きてること
忘れてはならないんだ、
そう感じた。
何か記憶の直感みたいなもので
忘れてはならないんだって。
そして、それなしには、
ただ下を向くしかなくなっていく様な気がしたから。

今はこの想いで創った作品たち。でもきっとまた忘れてしまう。

人間だから。欲深い人間だから。だから多分また同じこと、考えて悩んでぶつかって、創るのかな。

今回の展示、
こんな想いで制作してました。






コメント

  1. なんだろう。他の作品は素通りでしたが、これらの作品には、足を止めてしばらく見てしまいました。私はほとんど芸術的センスを持ち合わせていないので、作品に対するコメントは出来ないのですが、優しい気持ちにさせてもらいました。日々仕事に追われて生活している中で、ほんのひと時解放された気持ちになりました。ありがとうございます。

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    1. ありがとうございます。その様に思って見て頂けた事が本当に本当に嬉しいです。自分の中で生まれた感情が普遍性を持って、作品を見てくれた人の心に少しでも温かな灯火を灯せることが出来たら、そんな想いも込め、作品を作っていました。それなので、そのように言って頂けて本当に幸いです。

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  2. はじめまして。8/29に作品を拝見しました。ガラスからささやかれた ”ワタシハ ココニイルヨ” ”アナタガ ソコニイテ ヨカッタ” そして「森よ、空よ、星よ、風よ、ずっと聞きたかったことがある」の詩に心をわしづかみにされました。そしてあのムースがどのように誕生したかをブログで拝見して、その場の雰囲気全てに魅了されていた自分を思い出しました。時間がなく後ろ髪を惹かれつつアトリエを去った後もあの空間で流した温かな涙の感覚が失せなくて。美術館にお電話して作品について教えていただきました。果澄さんの作品に出会えたお陰で2014年の夏は特別なものになりました。ありがとうございます。

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  3. imakokoさん、初めまして。コメントのお返事が遅くなってしまってごめんなさぃ><芸術の森での作品を見て頂けまして、そしてそのように思って頂けました事、大変嬉しいです。窓ガラスの言葉、気付いて頂けたのですね^^見て下さった後に美術館にも再度ご連絡してお聞きして下さったとの事で、作品気に入って頂けて本当に嬉しいです。森や空や星や風に聞いた言葉、あの言葉を作品に入れたのは実は7年前が一番最初でした。そして今でも、その言葉を作品に入れるのはその問いの答えをまだ探して、そして、自分自身に言い聞かせたからでもあるのかなっと思ってます。これからも個展や、そしてイベントなど行っていきますのでまたどこかで作品を見て頂けましたら嬉しいです^^

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  4. 果澄さん、お返事ありがとうございました。あの言葉の数々は7年前から織り込まれていたのですね。
    また作品にお目にかかれる日を楽しみに益々のご活躍を応援させていただきます。

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